陶彩画展で

えるち*//さんのブログ

陶彩画展で

(官能小説)

京都へ陶彩画展に行った。

陶器の素材を細かくして貼り合わせた画は、とても綺麗。

龍や神話の神々が描かれて、順番に見ていく。

案内の女性が片言の日本語で

「いらっしゃいませ。光のあたる角度で色彩が違って見えます。

ぜひ、下から、もみあげてクダサイ」

展示の人波を止めてまで、かがもうとは思わない。

軽くうなずいてスルーしていくと、

わたしの右隣に、精悍横顔の男性がいる。

ベージュのトレンチコートに、黒髪センターパート

途中から、その人が気になって、画に集中できなくなっていた・・・。

境内にアナウンスが流れる

「4時で閉館しますので、お早めにご覧ください」

10分前にいうことだろうか?

などと思いながら、

大勢の人がいるので、先に行けない。

心なしか、後列の人が肩に触れるくらい押してくる。

まだ見たい。陶彩画もトレンチくんも。

だんだん人波の進むペースが速くなる。

「あっ、すみません」

気が付いたら、トレンチくんのスニーカーを踏んでいた

「え?ああ・・・」

苦笑いを見せるトレンチくん。

笑っているけど、踏まれた・・・という表情

「ごめんなさい、いたくなかったですか?」

「え?ええ、だいじょうぶですよ。お姉さんはお怪我はなかったですか?」

なんと優しい青年だろう。30代といったところだろうか。心配そうに顔をのぞきこんでくる。真横から見たら、子犬のようだ。

「ええ。ちょっと、お腹がいたくて・・・ふらついてごめんなさいね」

「え、だいじょうぶですか?」

「はい、今日雨だし、お腹が冷えちゃて」

「それは大変。このあと時間ありますか?なにかあったかいものご馳走しますよ。」

・・・あったかいもの・・・なにをくれるんだろう?トレンチ君のコートの中はどうなっているんだろう。と、なぜかとても興味が湧いた。

「はい、大丈夫です。18時まで時間あるんで」

「よかった。じゃあい、続き観てからいきましょう」

 

陶彩画展を見終わり、屏風の前で代わるがわる写真を撮った。

「いやあ、よかったですね」

「はい、とてもきれいで。龍がかっこよかったですよね」

「ええ、とても陶器を貼り合わせたなんて思えないくらいでしたね」

「はい、なにか一番お気に入りの画はありましたか?」

「ぼく、太陽の龍が一番好きです」

「え、わたしも・・・」

「そうなんですか、いっしょですね」

「はい、欠落を愛せよ。完全なるものに進化はないって文がすごく好きで」

「ああ、書いてありましたね。」

「・・・わたしも欠落だらけで・・・笑 勇気出ました」

思い切って自虐的に言った。すると

「そんなことないですよ。お姉さんすごくすてきですよ。肌つるつるだし・・・」

「ありがとうございます・・・」

「おれが彼氏だったら、おねえさんの欠落埋めたいな。なんて♪」

あ、この人とはツボが合うだろうな。そんな風にか感じた。

「あはは、埋めてほしいな♪」

「面白いですね。お姉さん、この後何食べたい?」

「そうね、551の肉まんがいいかなって」

「いいですね。駅の構内にありましたね。僕も肉まん大好きです。」

「よかった。あったかい肉まんたべて電車まちましょう。」

「おなか大丈夫?」

「うん、あたたてめてもらえば、だいじょうぶ・・・」

まさか、このあと、強風で帰りの電車がなくなるとは思ってもいない

2人だった・・・

つづく

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